わったり☆がったり

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絶賛ロス中です…#おかえりモネ

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終わっちゃいました。『おかえりモネ』

地味にめちゃくちゃツボでした。

カーネーション』『あまちゃん』『スカーレット』と、ハマった朝ドラはこれまでもありましたが、なんというか、しみじみ、じんわり、心の奥底をぎゅっとつかまれる感じ。主演の清原果耶さんの佇まいの美しさもあると思う。彼女の「…はい」の演技が好き。素晴らしい。(←ただのファンか 笑)

 

思えば、朝ドラヒロインって、ポジティブ、おてんば、気丈…というのが定例で(たまにネガティブな『ちりとてちん』とか『あまちゃん』とかあったけど)、モネはそこをすべて裏切ってきた。ポジティブでおてんばなのはスーちゃんに任せ、気丈なのはミーちゃんに任せ、ひたすらネガティブで「うーん」とじっと考え込んでいるヒロインが朝から…って大丈夫なのかと思いつつ、朝ドラでありがちな「家族を背負うしっかり長女」から逸脱して、真っ先に家を出てしまうヘタレな長女設定がよいなぁと、うじうじヒロインに地味にハマってのスタートだった(清原さんがヒロインになった時点で、ある程度予想されていたけれど。彼女、ほんとうに19歳なのかと思う貫禄ですよね…)

 

あまちゃん』が三陸地域の海の文化と暮らしを丁寧に描いて、終盤に震災をもってくる構成だったのが2013年。そこから8年、震災10年の年に、震災から始まる物語が来たんだな…というところに年月を感じさせられもした。そして、震災のダメージ、傷つきが一人ひとりにどんなふうに残り、一人ひとりがそれをどう抱えて生きていくのかということを、すごく丁寧に描いていたなぁと思う。そのとき、その瞬間、その場にいなかったことで傷ついたモネと、その場にいたからこそ恐怖と自分への怒りで傷ついていたミーちゃん。何の問題もない、愛情にあふれた家族だったからこそ深く傷ついた亮ちん親子。一人ひとりのエピソードやキャラクターが丁寧に作りこまれていたと思う。

 

ということで、勝手にベスト3

第8週それでも海は(特に37話と38話)

モネたちも傷ついているけど、親世代も傷ついていて、苦悩している。『おかえりモネ』は朝ドラにありがちな横暴おやじとか一切出てこない(笑…そのまえの『おちょやん』の史上最悪虐待親と対照的すぎた)。むしろ全然問題がない、いい人ばかり、温かい家族ばかり出てくるんだけど、だからこその傷の深さ、やさしくて思いやり深いからさらに傷つくことの残酷さを、悲観的にならないように描いていくというのは、朝ドラ・半年スパンの長さがあってこそ、なのかもしれないなと予感させた週だった。

神回だ…と騒いでしまった夏(笑) 「立ち直らねえぞ!」と宣言する新次もすごいし、「明日からまた始めればいいんだ」と受け止める耕治もすごかった(浅野忠信内野聖陽、二人とも巧すぎる)。宮地尚子さんの環状島モデルを思い出してしまった。

震災と人権 復興に伴うストレスを知り、息の長い支援活動につなげる | 東京都人権啓発センター

脚本の安達奈緒子さんはじめ制作サイドのみなさんは勉強されているに違いない…。

第15週百音と未知

この週は内容が詰まり過ぎて、毎日息がつまりそうだった。神野さんが「やりたいこと」と「求められていること」とのギャップに葛藤する姿に、胸アツ…している間もなく、怒涛の展開。ここで、あ、美波さんは津波にさらわれて行方不明の状態なのか…と気づいて、つらさ倍増……そりゃ、新次さんも亮ちんもつらい。つらすぎる。こういう状況が被災地にはたくさんあったのだろうと考えると、復興とか、震災から10年とか、なんなんだ…と、自分のことも責めたくなる…毎朝やりきれなかった(朝から見るのに全然向いてないドラマだ…)。ここの前に、気象チームの人たちの会話の中で野坂さんが阪神淡路大震災を経験した人なのだいうことも明かされていたり、車いすラソン選手をサポートするくだりで「支援する/される」ってなんだ?という文脈もあったりで、すごく伏線が生きていた週だった。且つここでのストーリーが後々にまた伏線として効いてくるという、ちょうど真ん中で、山場が来るのは当然かもしれないけど、それにしてもすごい山もってきたな…という週だった。(そしてミーちゃんの葛藤は、さらにもっと深かったのだと後々わかって、そこからこの週をふりかえると、切なさ倍増である…。ミーちゃん役の蒔田彩珠さんは、NHK版の『みおつくし料理帖』のときにすごく上手な子がまた出てきたなぁと思っていたけど、この人もすごい。この姉妹すごい)

第23週大人たちの決着

大団円…ではないけれど、紆余曲折して、決して解決したとか立ち直ったとか、そういうことではなくて、うつむいたままでも一歩踏み出すんだよ、という繊細な展開で終わっていくんだな…としみじみ感動。これは終わったら確実にロスになるぞと予感…(悲)亮ちんは、漁師の新次さんが憧れで、尊敬していた父の姿だから、そう戻ってほしいと考えてきていて、そういう亮ちんの気持ちは十分わかりつつ、そして周りの人もそういうまなざしで自分を見ている、見守っていることも十分に受けとめつつ、「自分は海へは戻らない」という決意を通す新次さんはカッコよかった。彼にとって、漁師だった日々は美波さんと共にあって、そうでしかありえない。そしてそこへは戻れないのだと腹をくくって、陸で生きる、そこで前を向きたいという思いが、いろんなことを考えさせてくれた。ここでもまた、復興ってなに?という問いが返ってくる。元通りになることが復興ではない。元通りの姿になることが立ち直りではない。そんなに人間は単線的ではない生を生きている。そういう父の決意を受け入れた亮ちんもえらい。実のところは納得いってないかもしれないけれど、自分は自分の船で漕ぎ出そうと覚悟を決めた表情も良かった(永瀬廉さん、どうせアイドルやし、と興味なかったけどいい役者だった。ただのイケメンさんではなかった)。
朝ドラって、基本的にヒロインが軸なので、父と息子というテーマはあまり扱われないし、うまくいった試しもないような気がするけれど、『おかえりモネ』では亮ちん父子もそうだし、耕治と龍己さん父子の関係性も、しみじみと味わい深かったと思う。

 

ということで、ロスのあまりグダグダ書いてしまいました(笑)

よいフィクションは、現実よりも現実を描き出せる。そういうドラマは有難い。です。

 

おまけ:
一言でいえば、みんなが「悶え加勢」しているドラマだったなと。

終盤に少しだけ出てきた「気仙沼で何かできないかとボランティアに来たものの、外から来た人間に何ができるんだろうかと悩んで東京に帰った」大学生の子が、またやってきて、「こうしてまた来てくれてよかった」というモネのことばにホッとする表情とか、そういう細かい、少ししか出てこないゲストの人たちの醸し出すニュアンスも、一つも無駄がなくて、本当にすごい脚本だったと思う。最後まで登場しない宇田川さんが、最終週で「文字」で登場して、でももはやだれも「宇田川さんが書いてくれた」とは言わない、自然とそこにあたりまえのように登場する存在になっていることも、すごく意味のあることだったと思う。

 

ディティールについていくらでも語れるドラマは良いドラマ(笑…きりがない)