わったり☆がったり

왔다 갔다(行ったり来たり)な毎日です(*^_^*)

SVP韓国教育視察ツアー 1

台風に挟まれ、台風からすり抜けるようにソウルへ往復してまいりました…。
(一日前乗りしてHYBE本社近くまで行くつもりが、雨風にひるんで行けなかった…じゃんねん。そしてなんとその前日にリウム美術館行きました~とかのたまう推し。そうか、もう一日早く前乗りすべきだったか(違)w)

youtu.be

うん。そうだね。記録は大事だよね…と推しに励まされつつ、ぐちゃぐちゃのメモ書きと写真を少し整理しようかと思います。参加したツアーはこちら!

megaphone.school-voice-pj.org

8月11日~14日、訪問順に記事を分けて書いて整理します。知った情報の整理・・・というよりは、私が感じたこと・考えたことの備忘の意味が強めです。

まずは1日目から。

9月11日午後:全国教員組合(全教組)訪問

団体の拠点として建ったばかり!というビルにお邪魔し、お話を伺いました。

ビルの入り口から「교육 희망(教育希望)」と掲げてあって痺れます。

そして各階段ホールにこんな装飾が。カッコいい。

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最上階が歴史資料室。団体の歴史が見渡せる展示と資料室。こういうの、大事ですよね。
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1961年に結成されたものの、軍事政権下では活動できず。88オリンピック/民主化の流れを受けて1989年5月28日にようやく活動スタート……と思いきやの「非合法組織」に加入したことを理由に全国で1500名余の教員が解雇される。この解雇撤回闘争が最初の闘い。映画『1987ある闘いの真実』を思い出しました。

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ちょうどその頃、日本で私は「91年問題」を前に、外国人登録法や出入国管理法について勉強していて、日本で暮らす人の問題なのになぜか外交カードの1枚になって日韓首脳会談の議題になったりするのがどうにも腑に落ちなくて「なんでここで外交が出てくるん?(しかも人権とかまったく興味なさそうな全斗煥大統領・・・)」とモヤッてたっけなということも思い出した。(資料室の年表見ながら、こういう韓国内の民主主義を巡る闘いのことをまったく知らずにいたんだよなぁと不明を恥じる。日本でいうと60年代や70年代初期の日教組vs文部省とも通じるかなぁ…)f:id:jihyang_tomo:20230819110811j:image

写真右上にある丸いシンボルマーク「참 교육(真の教育)」の赤と青は南北分断含め「分断」を越えた連帯をめざそう、教育は分断されまい、という意味だそうです。カッコいいし可愛い(こういうデザインセンス、いつも感心する。韓国の市民運動、市民団体って、なんかこういうのセンスいいんですよね…なんだろな)

下の写真は「組合潰し」のために、こっそり組合加入している教員を探すためのチェックリスト。「付け届けを受け取らない教師」「よい授業づくりのために探究を怠らない教師」「学級新聞をつくる教師」「貧しい家庭に寄り添い、家庭訪問する教師」…って、私のことですか(笑)とひとしきり受けてしまった参加者のみなさんでした。
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この7月18日にソウル江南地区の小学校で、新卒2年目の教員が校内で自死するという衝撃的な事件があって、ソウルでは毎週末に光化門ひろばに先生たちが集まって追悼と学校現場の環境改善を求める集会・デモ開催中でした(この事件は気になっていたので、今回のツアーでいろいろと教えてもらえて良かったです)。

背景として、そもそも過酷になり過ぎた学歴競争・受験競争があって、子どもも親も疲弊しきっている(ゆえに韓国は日本以上の勢いですさまじい少子化が進んでいる)。社会的にも、これは問題だと思われてはいて、教育改革も何度も試みられているし世間の関心も高いけれど、根本的な解決にはなっていない。

Keyword「教権(교권)」
教師が不当な圧力を受けることなく安全に、人権を守られた状態で教育活動を行う権利・・・を言う造語。こういう表現をつくって訴えなければならないぐらい、教員の立場が脆弱になっていると。

7.18.の事件は学校施設内だったから注目されただけで、教員の自死や病気休職・退職は年々増加しているそうです(ゆえに多くの教員が「他人事ではない!」と集会に駆けつけている)。保護者の学校・教員に対する過剰な要求とプレッシャー、それに対して盾になってくれない管理職(担任教員の個人電話番号を保護者に周知して「そっちで対応して」的な管理職が多いらしい。そりゃ先生たち病むに決まってる…)…と何重にも教員が孤立しやすい条件が重なっているという話が、この日は印象的でした。
(この「教権」については、日を追うごとに解像度が上がりましたので、後の記事でも)

韓国行ったら、美味しいごはん! ですよね。初日はみんなでサムギョプサルを楽しみました。台風で、ツアー参加者全員がそろったのはこの後・・・という波乱万丈スタート(そして帰りも台風で飛行機欠航して取り直さねば!の人が続出する波乱万丈)
とはいえ、美味しかったです。堪能。
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もう一つ、組合といえば気になる加入率(笑)

韓国でも、もっとも多かったころに比べると加入者数は約半分(全国で4万人ほど/加入率でいえば10%ぐらい)。自死した先生も非組合員で、若い人ほど加入していないのが実情らしい…。そのへんの経緯を聞いていたら、ちょうど80年代前半頃の日本と似ていて、そこは似なくていいのよ…と思ってしまいました。要は「組合」という存在を、厄介な対立をもちこむ迷惑グループのように喧伝する→若い人がそういうややこしそうなとこならどうしようか・・・と及び腰になる→日々多忙で追われていて組合について調べる余裕もないから加入しない→一人で問題を抱え込んで追いつめられる 構図ができあがっているってこと。今回の事件で毎週末に集まっているのも、組合経由ではなくてSNS経由。とはいえ、自由意思で集まっているわけで、ある意味、「組合員だから動員で」というのではない、それだけ切迫している問題だということで、これきっかけに組合(でもそれ以外でも)横につながって、せめて一人で抱え込んで追いつめられる先生が1人でも減るといいなと願います。

あと、日本の組織は見習ってほしいと思ったのが組合役員の男女比。

お話をしてくれたのは委員長さん(男性)で、最初に「別件があるので挨拶だけ」と話してくださったのが事務総長さん(女性)。この役職がツートップだそうですが、「両方とも男性」はNGと決まっているそうです(両方女性はOK)。韓国は小学校の教員の約70%が女性なので、組合員も女性の方が多く、必然的に他の役職も女性の比率は高め。日本の組合が交流のために来たんだけど役員ほぼ男性でビックリした(笑)と言われて恥ずかしかったぜよ…。

個人的に2016年韓国#metooの頃にできた「学生人権条例」どうなってるのかも気になっていたのですが、教育監(日本でいう教育長・韓国では直接選挙制で、地方選挙の際に一緒に選ばれる)が保守派に代わると「学生人権条例」に手を付けるらしい…。民主派の象徴みたいなものだから、変化をアピールするのに手っ取り早いから(そして、韓国の報道いくつか見たなかに、「教権」が脅かされているのは学生人権条例なんかで学生がわがままになったからだ!論調のものもあって、そういうとこも日本に似てるなと思うのでした)。とはいえ、民主派だからといって人権に理解があるとは限らないし、影響は限定的かな…という反応でした。そこらへん、一度大衆的に火がついて獲得された権利については、市民の方が引かない強さを秘めているってことだろうか・・・?と思ったり。にしては、教員をそこまで追い詰めるほどクレーマー化してしまうのも市民なわけで、きっと単純に何が悪いといえない、これまでのさまざまな問題の蓄積のミルフィーユで、状況としてはみんなが何となく追い詰められ感に苛まれているしんどさ、重苦しさがあるのかなぁ…なんて思いながら、一日目の夜は更けたのでした。