わったり☆がったり

왔다 갔다(行ったり来たり)な毎日です(*^_^*)

あらゆる暴力にNoを言い続ける

ホビ(J-hope)が入隊した。兵役義務の履行。18か月間。

7人そろってのお見送り写真がSNSにアップされた(2023年4月18日午後16:00ごろ)。

今朝ぼんやり見ていた時計代わりのTVの星占いで、私の星座は11位で、「今日は考えがまとまらない日」と言われて、「そりゃそうでしょうともさ!」と独り言ちた。

 

ジンくんが入隊した12月も、モヤモヤなんやかんや書いた(そしていてもたってもいられなくなって、ちょうど名古屋に来てたリヒター展に行ってしまったんだった)。今回は幸か不幸か新学期のせいで怒涛のスケジュール具合。考えないようにして淡々と仕事…といいつつ、やってることが「人権」の授業準備なものだから、どうしても考えはそっち方向へ回転し始めてしまう。

 

でもね。

考えたところで、どう考えたらいいのか、だんだんわからなくなってきた。

わからない、というよりも、決定的な「わかりあえなさ」を感じてしまっている。

 

jihyang-tomo.hatenablog.co

基本的に、この時考えていたことと変わってはいない。

ただ、この間のRMやSUGAの言動から、彼らがもうずっと前から兵役による活動空白をどう乗り切るかについて考え抜いてきて、そのための準備や仕込みに余念がなかったことをひしひしと感じさせられて、それがつらい。韓国でボーイズグループとして活動する人たちが、それを考えて準備するのは当然のことだ。一方で私自身は「国連でスピーチしたり大統領の特使になったり、国のために働いてんだから兵役免除ぐらいすればいいのに」程度に考えていた。この間にある断絶。

韓国で、男の子の親になって、男の子を育てていくこと。

男の子として生まれて、育つこと。

ずっと「兵役」はそこにあったのだということ。

そういう社会のなかで「僕が僕であること」にこだわり、それをやり続けてきたということ。あらためて尊敬する。

(「尊敬ってなんやねん」と歌う「Respect」という曲もあるけど、ホントに「なんやねん(ゲラゲラ)」とやってる2人が眩しい。BTSの頭脳2人を前に「いや、すまない…」と首を垂れるばかり)

どういう精神力なんだろうか、と思う。
(まぁ、そういう人たちだからポップスターなのだと言われればその通り…)

兵役についてまじめに考えるようになって、あれこれ勉強して韓国社会に対する私の解像度がかなり上がってきたこの半年(体感的には3年ぐらい経っているのだけど、考えてみたらたかだか去年の6月以降だった)。これまでに出会ってきたさまざまな「韓国の人たち」を思い返して、私ったら何にもわかってなかったなぁと思うことばかりだ。

すぐ隣に戦争が口を開けているところで立ち上がるのだから、そりゃぁ人権運動も差別撤廃運動も、腹のくくり方が私たちとは根本的に違うに決まっている。違う違うと思ってはきたけど。

 

だからって、あきらめはしないけど。

「わかりあえない」ことから始めていくんだけど。

 

ホビは、兵役前のスケジュールを全部こなして休みに入った途端、燃え尽き症候群的にぼんやりしてしまったと話していた。「ぼんやり」のなかに、寂しさとか不安とか、いろいろなことが詰まっているのも伝わってきて、聞き取りきれない韓国語を聞きながら泣いていた。「みんな行くことだから」と何度も言い、「元気で行ってきます」「待っててね」を繰り返す優しいホビ。希望という名を背負ってきたかれが軍隊に行く。

あんなに怖がりで、繊細で、ケアマインドの塊のような子が、軍隊なんて大丈夫なんだろうか、ご家族もさぞ心配だろうとか、キリもなく考えてしまう。そして、これまでもこれからも「みんな行くことだから」と、何でもないことのように「みんな行く」のだ。でも実際には何でもないことなんてない。社会のあり方、価値観、文化に、徴兵制は深く影を落としている。その矛盾、理不尽、納得のいかなさに対して、吠えて、抗って、歌ってきた防弾少年団が軍隊に行く矛盾。

 

かれらだって、十分わかっているのだろうと思う。

 

そう考えながら、あるいは…とも考える。

韓国で男子であるというポジション。かれらはそもそもマジョリティだ。

アンダードッグから始めて苦労をしているとはいっても。

そのポジションで持てる力を、社会のために善いことに使いたいとかれらが願って行動してきたことは間違いない。けど、あくまでもマジョリティの価値観からはみ出さない範囲内で、社会とハレーションを起こさない範囲内に収めているなと感じることが、最近ときどき、ある。それはトップドッグになってしまったが故の、不自由さなのか…。必要な気遣いと、不必要な忖度との間。そこで、極端な男社会からこぼれ落ちた「小さきもの」から視線を無意識に外してはいないだろうか。みようとしなければみえない世界。兵役を前に、あえて「みようとしない」選択をしているのかもしれない。意識的にというよりも「それどころじゃない」から。

それでも視線を外さないでほしいと思う気もちと、もう自分がやりたいことにだけ集中してやりきってほしい気もちで揺れる…のは私の勝手な、私の問題なんだけどね。

 

兵役義務を履行して、ある意味そこから自由になって迎えるはずの2025年まで、私たちは東アジアに軍事的緊張を起こさせないために尽力するしかない。それがARMYの待ち方だから(なかなか大変な「出待ち」だけども)

再び結集した7人が次にみせてくれる世界のために。

そしてともに、暴力のない世界をめざすために。

 

19日追記

[BANGTAN BOMB] j-hope’s Entrance Ceremony with BTS - BTS (방탄소년단) - YouTube

これがきて、ナムジュンが「寂しい」と涙ぐむのをみて、激しく落ち込んでおります……。

上にあんなこと書いたけど「それが韓国人男子の義務だから」で、割り切れるわけないよね。割り切らなければ仕方がないから、みんなそんな顔をしてみせるってだけで。仮に兵役を拒否したら、と考えてみる。そういう色がついてしまうことが、今後の活動にどう影響するのか、それがどれほどグループにとって、個人にとって、リスキーなのか、私には想像がつかない。良心的不服従がそれとして成り立つ社会情勢でもあれば、また違うのかもしれない。……そんなふうに考えたとき、「ただ音楽が好きなだけ」の「そんな特別な奴じゃないんだよ」の「ごく普通の韓国人男子」という身の丈を繰り返し語ってきたかれらに、そこを求めてはいけないよな……と感じてしまう。(これも前に考えたな、そういえば……。けっきょく同じところをぐるぐる回っている私)

 

寂しいよね。

そりゃそうだよ。

どうか元気に、決まった時間を送って、戻ってきてほしい。

どうか。